こんにちは。3階病棟です。
今日は、「BKP/経皮的椎体形成術(骨セメント療法)」についてお話したいと思います。
ふとした尻もちや転倒によって脊椎が圧迫骨折すると、寝返りもできないほどの激しい背中や腰の痛みが起こることも少なくありません。また、骨粗鬆症で骨の密度が低くなっている場合には、知らず知らずのうちに潰れてくる場合もあります。近頃では CM で「いつの間にか骨折」などと表現されたりもします。
圧迫骨折は、潰れた状態で骨がかたまれば数ヶ月で痛みは減ってきますが、背中が丸くなる原因になります。潰れた骨が固まらない場合には痛みが残存するうえ、背中は丸くなります。ひどいと下肢に運動麻痺が生じる場合があります。
BKPは、そのような脊椎圧迫骨折の痛みを軽減する除痛を目的とした新しい治療法です。
医師に圧迫骨折と診断され、腰や背中に痛みがある。
がんによる椎体転移と診断され、腰や背中や下肢に疼痛がある。
※骨髄炎、硬膜外膿瘍、出血傾向の場合は禁忌となります。
即時的な除痛効果、潰れた骨を可能なかぎり戻すことにより背中が丸くなるのを矯正する効果が期待できます。
BKPは、グラグラする背骨を固めて痛みを止める手術です。全身麻酔で、背中に約5mmの切開を潰れた背骨の両側に入れて、そこから潰れた椎体の中に丈夫な風船を入れ、骨の中で風船を膨らませ、潰れを直し、骨の中に空洞(穴)をつくります。その後、その穴の中に骨セメントを充填して、骨の内側からグラグラした骨を固めるものです。手術は短時間で終了し、ほとんど出血もありません。
利点は手術の侵襲が少ないことと、グラグラした骨を固めることですぐに痛みが緩和されることです。術後しばらくはコルセットを装着しますが、痛みが軽くなるため翌日から起きて歩くことが可能で、中には全く痛みがなくなる方もいらっしゃいます。
さいごに
骨粗しょう症性脊椎骨折の治療は、最近非常に進歩してきました。これまでは、保存治療しか選択肢がなく、圧迫骨折の人は主として保存治療、破裂骨折でも軽いものは保存治療、重症の場合のみ手術治療が行われてきましたが、その結果、痛みが軽快せずに寝たきり状態になってしまう場合も少なくありませんでした。
しかし、現在は、もっと早くに動けるようになり社会復帰できる治療があります。手術の方法も非常に進歩し、患者さんの状態に合った治療ができるようになりました。高齢だからといって積極的な治療をあきらめずに、受診されることをお勧めします。