こんにちは、武蔵野の「ラジエーションハウス」…放射線科です。
放射線科ではX線を使った画像検査を主に行っていますが、今回はX線・放射線を使わない画像検査“MRI”について、お話させて頂きます。
MRIの撮影は“磁場”と“電波”を利用しています。今回はその“磁場”と“電波”に対しての「MRIの撮影」特有の“注意事項”と、皆様から寄せられる質問について回答をいたします。
先ず気を付けなければならない「金属類・電子機器の持ち込み」について、金属類とは入れ歯・鍵・ヘアピン(ウィッグ)・ネックレス・ピアスなど、電子機器は時計・補聴器・携帯電話などです。MRIは磁気を使っていますので、室内の撮影機器に吸着し破損、また、その際、機器へすごい勢いで吸着しますので、患者様にぶつかる恐れもあり非常に危険です。
さらに、体内金属についてもMRI撮影では注意が必要です。例えば、ペースメーカー、人工内耳、20年以上前に挿入した人工関節などです。ペースメーカー・人工内耳などは機器の破損だけでなく、身体への影響がありますので「禁忌事項」となっています。人工関節等、手術での体内金属については、チタン製ならばMRI撮影が可能です。素材が分らないものに関しましては、手術した病院様へあらかじめ問い合わせをして頂きます。確認でき次第予約となります。
※近年、MRI対応のペースメーカーもありますが、当院では非対応となっています。あらかじめご了承ください。
これに加え、磁気カード(財布)も持ち込みが禁止となっています。これは、撮影室の磁気によりカード情報が破損し、使えなくなってしまします。
湿布薬等の貼り薬は禁止となっています。湿布などを貼っていると、薬剤が熱を帯び、火傷の原因となります。また、アートメーク・入れ墨についても、発熱原因となる場合があります。特に、赤・青色の顔料は発熱しやすいので注意が必要です。
これらを踏まえた上で、放射線技師が撮影前に最終確認をし、MRI撮影検査となります。撮影時間は検査部位にもよりますが、15分から20分位です。
但し、造影剤という薬剤を使う検査(腫瘍の評価・転移などの鑑別目的)は、単純撮影(造影剤を使わない)後に造影剤を腕の静脈から注入し撮影。造影前と後の二度撮影となります。また、認知症の検査などの特殊な検査の場合も20分から30分位の撮影となります。
メリット
〇被ばくがない:MRIは磁石の原理で撮影をしているので体に害がありません。
〇造影剤を使用しなくても血管の抽出ができます。生きている人間の血管は血流がありますので、その血流のタイミングを撮影し、一つの血管画像を作成します。
〇靱帯や神経や脊髄などの抽出に優れています。
〇急性期脳梗塞・癌細胞の診断に優れています。これは、DWI(拡散強調画像)を撮影することにより、梗塞となっている部分が光って見えます。一概に急性期脳梗塞・癌細胞と判定することは出来ず、色々な画像から判定をすることになります。
デメリット
〇検査時間が長い。
10年くらい前は0.3T(テスラ:磁場の強度)等が主流でしたので、長いと言われていましたが、今の主流は1.5Tや3Tです。T(テスラ:磁場の強度)が強くなるほど画質も綺麗ですし、撮影時間も以前の半分から1/3程度に短縮されています。
〇音がうるさい。
撮影時の大きな音は、目的の断面のみを画像化するため、電気的に磁場を変化させ、空気を振動させる時の音です。さらにMRI撮影はガントリと呼ばれる筒に入って撮影するため、音が倍増され、うるさく感じてしまいます。これも以前に比べ、新しい技術により半分から1/3程度の音に抑えられています。また、検査部位によってヘッドフォンや耳栓で音を軽減する事が出来ます。
〇撮影範囲が狭い。
MRIでは専用のコイル(撮影器具)があります。例えば、頭部コイル・脊椎コイル・肩コイル・腹部コイル・膝コイルなど、そのコイルに目的部位が収まらないと撮影できないため、肩・肘・手・膝・足などは片方ずつ、1部位毎の撮影となります。
Q : ブラジャーは外さなくて良いのですか?
A : 検査部位によります。ブラジャーやキャミソールのアジャスターが金属ならば撮影部位によっては外していただきます。
Q : 服のボタンは大丈夫ですか?
A : プラスチックのボタンは大丈夫です。
Q : 咳やクシャミが出てしまうのですが大丈夫ですか?
A : 生理現象なのでしかたありません。ですが、クシャミや咳をすると体全体が動いてしまうため画像がぶれてしまいます。再度撮影が必要となってしまいます。
Q : 閉所恐怖症なのですが大丈夫ですか?
閉所恐怖症は個人差がありますので、無理せず撮影できる範囲で撮影させていただきます。検査途中で常に緊急用のブザーをお手元にお渡ししておきます。また、患者様によっては、目の上にタオルを置いたら(目隠ししたら)スムーズに検査が出来たという声もありました。それでも撮影が困難な場合は、MRI検査を中止とさせていただき、ほかの検査(CT・レントゲン・超音波・脳波)で補い、医師が診断いたします。
Q : 検査部位以外なら動いていいですか?
A : 基本的には動かない様にして頂きます。
Q : 撮影中に呼吸していてもいいですか?
A : MRI検査では自然呼吸をしていただいて大丈夫です。また、動かなければ寝ていただいても大丈夫です。ただし、お腹の検査は臓器の動きを軽減するために、呼吸を止めた撮影を行います。その際は、こちらでアナウンスいたします。
Q : 指輪やピアスがどうしてもはずせない場合はどうすればいいのでしょうか?
A : 基本的にアクセサリー類は外していただきます。
最後になりますが、撮影に当たる技師も注意深く検査を行っておりますが、良い検査をするためには、患者様のご協力が不可欠です。
何か分からないことがありましたら診療放射線技師・病院スタッフにお気軽にお尋ねください。